神戸地方裁判所 平成9年(行ウ)17号 判決 2000年2月08日
原告
株式会社サンヨーオートセンター
右代表者代表取締役
阿部徳行
外三名
右四名訴訟代理人弁護士
松井健二
同
大土弘
同
水野武夫
被告
尼崎税務署長
大谷久仁雄
外二名
右三名指定代理人
黒田純江
外四名
主文
一1 被告尼崎税務署長が原告株式会社サンヨーオートセンターの平成五年四月一日から平成六年三月三一日までの事業年度の法人税について、平成七年七月二四日付でした更正処分(ただし、平成九年一月三一日付裁決及び同年三月五日付裁決書訂正書により取り消された後の部分)のうち、所得金額三億一〇二一万六二六三円、法人税額一億二〇七一万五二〇〇円(差引納付すべき税額八六九四万九九〇〇円)を超える部分及び平成七年七月二四日付でした加算税賦課決定処分(ただし、平成九年一月三一日付裁決及び同年三月五日付裁決書訂正書により取り消された後の部分)を取り消す。
2 被告尼崎税務署長が原告株式会社サンヨーオートセンターの平成五年四月一日から平成六年三月三一日までの事業年度の法人特別税について、平成七年七月二四日付でした更正処分(ただし、平成九年一月三一日付裁決及び同年三月五日付裁決書訂正書により取り消された後の部分)のうち、課税標準法人税額一億一一五七万一〇〇〇円、差引納付すべき法人特別税額二七八万九二〇〇円を超える部分及び平成七年七月二四日付でした加算税賦課決定処分(ただし、平成九年一月三一日付裁決により取り消された後の部分)を取り消す。
3 被告尼崎税務署長が原告株式会社中央自動車鈑金工業所の平成五年四月一日から平成六年三月三一日までの事業年度の法人税について、平成七年七月二四日付でした更正処分(ただし、平成九年一月三一日付裁決及び同年三月五日付裁決書訂正書により取り消された後の部分)のうち、所得金額一億三七五一万一四三二円、法人税額五二二五万二二〇〇円(差引納付すべき税額三〇七九万四四〇〇円)を超える部分及び平成七年七月二四日付でした加算税賦課決定処分(ただし、平成九年一月三一日付裁決及び同年三月五日付裁決書訂正書により取り消された後の部分)を取り消す。
4 被告尼崎税務署長が原告株式会社中央自動車鈑金工業所の平成五年四月一日から平成六年三月三一日までの事業年度の法人特別税について、平成七年七月二四日付でした更正処分(ただし、平成九年一月三一日付裁決及び同年三月五日付裁決書訂正書により取り消された後の部分)のうち、課税標準法人税額四六八〇万六〇〇〇円、差引納付すべき法人特別税額一一七万〇一〇〇円を超える部分及び平成七年七月二四日付でした加算税賦課決定処分(ただし、平成九年一月三一日付裁決により取り消された後の部分)を取り消す。
二1 原告株式会社サンヨーオートセンターの、被告尼崎税務署長が同原告に対し平成七年七月二四日付でした源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分(ただし、平成九年三月三一日付の源泉所得税の加算税賦課決定等通知書により変更された後の部分)の取消しを求める訴えを却下する。
2 原告株式会社中央自動車鈑金工業所の、被告尼崎税務署長が同原告に対し平成七年七月二四日付でした源泉所得税の納税告知処分及び不納加算税賦課決定処分(ただし、平成九年三月三一日付の源泉所得税の加算税賦課決定等通知書により変更された後の部分)の取消しを求める訴えを却下する。
3 原告阿部まみえの、被告西宮税務署長が同原告の平成五年分の所得税について平成七年七月二四日付でした更正処分(ただし、平成九年三月一一日付の更正処分変更決定処分により変更された後の部分)のうち、総所得金額八〇七万三二七四円、納付すべき税額一億二六九三万八七〇〇円を超える部分及び平成七年七月二四日付でした過少申告加算税賦課決定処分(ただし、平成九年三月一一日付の加算税賦課決定処分変更決定処分により変更された後の部分)の取消しを求める訴えを却下する。
4 原告阿部寿枝の、被告西宮税務署長が同原告の平成五年分の所得税について平成七年七月二四日付でした更正処分(ただし、平成九年三月一一日付の更正処分変更決定処分により変更された後の部分)のうち、総所得金額六八五万二九六八円、納付すべき税額一億二六四三万〇四〇〇円を超える部分及び平成七年七月二四日付でした過少申告加算税賦課決定処分(ただし、平成九年三月一一日付の加算税賦課決定処分変更決定処分により変更された後の部分)の取消しを求める訴えを却下する。
三 原告株式会社サンヨーオートセンター及び原告中央自動車鈑金工業所のその余の請求をいずれも棄却する。
四 訴訟費用は、原告サンヨーオートセンター及び原告中央自動車鈑金工業所と被告尼崎税務署長との間においては、各自の負担とし、原告サンヨーオートセンター及び原告中央自動車鈑金工業所と被告国との間においては全部原告サンヨーオートセンター及び原告中央自動車鈑金工業所の負担とし、原告阿部まみえ及び原告阿寿枝と被告西宮税務署長との間においては全部原告阿部まみえ及び原告阿部寿枝の負担とする。
事実及び理由
第一 請求の趣旨
一 被告尼崎税務署長が原告株式会社サンヨーオートセンターの平成五年四月一日から平成六年三月三一日までの事業年度の法人税について、平成七年七月二四日付でした更正処分(ただし、平成九年一月三一日付裁決及び同年三月五日付裁決書訂正書により取り消された後の部分)のうち、所得金額三億一〇二一万六二六三円、法人税額一億二〇七一万五二〇〇円(差引納付すべき税額八六九四万九九〇〇円)を超える部分及び平成七年七月二四日付でした加算税賦課決定処分(ただし、平成九年一月三一日付裁決及び同年三月五日裁決書訂正書により取り消された後の部分)を取り消す(主文第一項1と同旨)。
二 被告尼崎税務署長が原告株式会社サンヨーオートセンターの平成五年四月一日から平成六年三月三一日までの事業年度の法人特別税について、平成七年七月二四日付でした更正処分(ただし、平成九年一月三一日付裁決及び同年三月五日付裁決書訂正書により取り消された後の部分)のうち、課税標準法人税額一億一一五七万一〇〇〇円、差引納付すべき法人特別税額二七八万九二〇〇円を超える部分及び平成七年七月二四日付でした加算税賦課決定処分(ただし、平成九年一月三一日付裁決により取り消された後の部分)を取り消す(主文第一項2と同旨)。
三 被告尼崎税務署長が原告株式会社サンヨーオートセンターに対し、平成七年七月二四日付でした源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分(ただし、平成九年三月三一日付の源泉所得税の加算税賦課決定等通知書により変更された後の部分)を取り消す。
四 被告国は、原告株式会社サンヨーオートセンターに対し、五億六七八七万一八九八円及び内金四三五〇万一三〇〇円に対する平成七年六月二四日から、内金五〇〇〇円に対する平成七年八月一から内金四四一万六六〇〇円に対する平成八年三月六日から、内金五〇〇万円に対する平成八年三月一九日から、内金五億一四九五万三四九八円に対する平成九年二月一日から還付のための支払決定の日まで年7.3パーセントの割合による金員を支払え。
五 被告尼崎税務署長が原告株式会社中央自動車鈑金工業所の平成五年四月一日から平成六年三月三一日までの事業年度の法人税について、平成七年七月二四日付でした更正処分(ただし、平成九年一月三一日付裁決及び同年三月五日付裁決書訂正書により取り消された後の部分)のうち、所得金額一億三七五一万一四三二円、法人税額五二二五万二二〇〇円(差引納付すべき税額三〇七九万四四〇〇円)を超える部分及び平成七年七月二四日付でした加算税賦課決定処分(ただし、平成九年一月三一日付裁決及び同年三月五日付裁決書訂正書により取り消された後の部分)を取り消す(主文第一項3と同旨)。
六 被告尼崎税務署長が原告株式会社中央自動車鈑金工業所の平成五年四月一日から平成六年三月三一日までの事業年度の法人特別税について、平成七年七月二四日付でした更正処分(ただし、平成九年一月三一日付裁決及び同年三月五日付裁決書訂正書により取り消された後の部分)のうち、課税標準法人税額四六八〇万六〇〇〇円、差引納付すべき法人特別税額一一七万〇一〇〇円を超える部分及び平成七年七月二四日付でした加算税賦課決定処分(ただし、平成九年一月三一日付裁決により取り消された後の部分)を取り消す(主文第一項4と同旨)。
七 被告尼崎税務署長が原告株式会社中央自動車鈑金工業所に対し、平成七年七月二四日付でした源泉所得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分(ただし、平成九年三月三一日付の源泉所得税の加算税賦課決定通知書により変更された後の部分)を取り消す。
八 被告国は、原告株式会社中央自動車鈑金工業所に対し、一億三二八二万六四五八円及び内金五三三万七八〇〇円に対する平成七年六月一日から、内金五四万四三〇〇円に対する平成八年八月一日から、内金一億二六九四万四三五八円に対する平成九年二月一日から還付のための支払決定の日まで年7.3パーセントの割合による金員を支払え。
九 被告西宮税務署長が原告阿部まみえの平成五年分の所得税について、平成七年七月二四日付でした更正処分(ただし、平成九年三月一一日付の更正処分変更決定処分により変更された後の部分)のうち、総所得金額八〇七万三二七四円、納付すべき税額一億二六九三万八七〇〇円を超える部分及び平成七年七月二四日付でした過少申告加算税賦課決定処分(ただし、平成九年三月一一日付の加算税賦課決定処分変更決定処分により変更された後の部分)を取り消す。
一〇 被告西宮税務署長が原告阿部寿枝の平成五年分の所得税について、平成七年七月二四日付でした更正処分(ただし、平成九年三月一一日付の更正処分変更決定処分により変更された後の部分)のうち、総所得金額六八五万二九六八円、納付すべき税額一億二六四三万〇四〇〇円を超える部分及び平成七年七月二四日付でした過少申告加算税賦課決定処分(ただし、平成九年三月一一日付の加算税賦課決定処分変更決定処分により変更された後の部分)を取り消す。
第二 事案の概要<省略>
第三 当裁判所の判断
一 争点1(審査請求の取下げにより、国税不服審判所の裁決を経ていない本件納税告知処分一・二、本件不納付加算税賦課決定処分一・二、本件所得税更正処分一・二、本件所得税過少申告加算税賦課決定処分一・二の各取消しを求める訴えの適法性)について
(一) 原告サンヨーオート・原告中央自動車は、平成八年六月二七日、それぞれ本件納税告知処分一・二、本件不納付加算税賦課決定処分一・二に関する審査請求を取り下げ、原告まみえ・原告寿枝も、同日、それぞれ本件所得税更正処分一・二、本件所得税過少申告加算税賦課決定処分一・二に関する審査請求を取り下げたこと(前記第二の一10)、その結果、原告らは右各処分について裁決を経ていないことは当事者間に争いがないところ、原告らは、右審査請求の取下げの経緯について、原告らは、平成八年三月下旬ころ、国税不服審判所から首藤忠正税理士を通じ、①原告サンヨーオート及び原告中央自動車の源泉所得税に関する審査請求並びに原告まみえ及び原告寿枝の所得税に関する審査請求並びに原告まみえ及び原告寿枝の所得税に関する審査請求を取り下げること、②原告サンヨーオート及び原告中央自動車の法人税等に関する審査請求の主張につき全部の取消しを求める主張から、一部の取消しを求める主張に変更することの二点について教示を受け、その前提条件として、右教示に応じれば、全ての重加算税賦課決定処分が取り消され、源泉所得税及び所得税も賦課されなくなることを内々に示され、右教示に従わなければ、裁決が出るまで相当の時間がかかることも伝えられたため、原告らは、右教示に従うしかないと思い、右各処分に関する審査請求を取り下げたものであるから、国税通則法一一五条一項ただし書三号の「裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき」に該当する旨主張する。
しかしながら、原告サンヨーオート代表者兼原告中央自動車代表者本人の徳行は、その本人尋問において、経理担当の従業員布村修及び首藤忠正税理士の同席のもと、国税不服審判所審判官三、四名から、「本来の取引を元に戻し、持分の区分を変えるんだから、二重課税は関係ない」、「取引の一八(億円)、四二(億円)になってる分を、もう一編元に戻して、持分の配分を変えるんだから、配分を変えることによって、最初からやり直すんだから、それは個人の分は関係ない」、「(本件裁決の結論のように、本件不動産と本件株式の各取引価格を三五億円、二五億円に変えるとして)それに応じたお金の動きをすれば、元々源泉の問題とか、寄付金の問題は起こらない」との説明を受けた旨供述するが、右供述は具体性に欠け、趣旨が不明確であって、右供述によっては審判官が原告らに対して行ったという教示の具体的な内容、時期を認定することはできず、他に、国税不服審判所の係官が原告ら主張の教示をしたと認めるに足りる証拠はない。
そうすると、国税不服審判所係官が原告ら主張の教示をしたとの事実が認められない以上、前記原告らの主張は、前提を欠き、採用することができない。
(二) また、原告らは、国税不服審判所が原告ら主張の事情で審査請求を取り下げさせておきながら、本件訴訟において被告らが訴えの却下を求めることは、信義則に反する旨主張するが、前示のとおり、国税不服審判所係官が原告ら主張の教示をしたとの事実が認められない以上、右主張も、前提を欠き、採用することができない。
(三) したがって、審査請求についての裁決を経ていない本件納税告知処分一・二、本件不納付加算税賦課決定処分一・二の取消しを求める原告サンヨーオート・原告中央自動車の訴え(請求の趣旨第三・第七項)及び本件所得税更正処分一・二、本件所得税過少申告加算税賦課決定処分一・二の取消しを求める原告まみえ・原告寿枝の訴え(請求の趣旨第九・第一〇項)はいずれも不適法であり(行政事件訴訟法八条一項ただし書、国税通則法一一五条一項本文)、却下すべきものである。
また、本件納税告知処分一・二が有効に存在する以上、これに基づき原告サンヨーオート及び原告中央自動車が既に納付した源泉徴収税額及び延滞税額相当額について不当利得が成立するとはいえないから、被告国に対し右相当額の返還を求める原告サンヨーオート及び原告中央自動車の請求(請求の趣旨第四・第八項)は、いずれも理由がないといわざるを得ない。
二 争点2(前記一において取消しを求める訴えが不適法とされた各処分を除く本件法人税更正処分一・二、法人特別税更正処分一・二、法人税加算税賦課決定処分一・二、法人特別税加算税賦課決定処分一・二の適法性)について
1 争いのない事実、証拠(甲一ないし三〇、三八、四〇、四一ないし七六、八六ないし八八、乙五ないし八、九の1・2、一〇ないし一四、一六ないし二四、二七、二八、三二ないし三九、四〇の1ないし3、四一、四二、四三の1ないし4、四四、原告サンヨーオート代表者兼原告中央自動車代表者本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の(一)ないし(四)の事実が認められる。
(一) キャンベルゴヒャクの設立経緯
原告サンヨーオートは、昭和五六年一二月一四日、代表取締役の徳行が自動車販売及び修理業等を目的として設立した法人であるところ、高年式車を主体に、常時五〇〇台の中古自動車を展示して販売する西日本最大の中古車のデパート「キャンベルゴヒャク」として、昭和五七年に一号店のキャンベル岡山店を設置したのをはじめ、昭和六〇年に二号店のキャンベル倉敷店、昭和六三年に三号店のキャンベル津山店を設置し、次いで、四国に高松店を設置することを計画した。しかし、中古車の売買を行うために必要な古物商の許可が徳行名義では得られなかったため、同人の妻妙子を代表者として新たな法人を設立することとし、平成元年一二月一日、妙子を代表取締役として、発行済株式の総数二〇株、資本金一〇〇万円のキャンベルゴヒャクが設立されたが、その実質的な経営者は徳行であった。
中古自動車販売においては展示場となる土地が欠かせず、特に常時五〇〇台を展示して販売するというキャンベルゴヒャクの営業形態では三〇〇〇坪以上の展示場を必要としたため、原告サンヨーオート及び原告中央自動車が平成元年(一部は平成三年)合計約二八〇〇坪の本件各土地を合計一三億一一〇二万四三〇五円で購入し、本件各土地の一部に事務所兼店舗、修理工場等として本件各建物を建築して、本件各土地及び本件各建物(本件不動産)をキャンベルゴヒャクに賃貸することとした。また、キャンベルゴヒャクは、原告サンヨーオートが所有者から賃借した隣接土地(高松市田村町字中川原三六五番一、三六六番三、三七二番一)も使用し、本件各土地と合わせて約三三〇〇坪の展示場とし、平成二年二月、原告サンヨーオートから仕入れた中古車を展示、販売する営業を開始した。
キャンベルゴヒャクは、開業当初の平成元年一二月一日から平成二年三月三一日までの事業年度(第一期)に一三九二万三九九三円の税引前純利益を上げ、以後、平成二年四月一日から平成三年三月三一日までの事業年度(第二期)に一億三二四七万〇九〇七円、平成三年四月一日から平成四年三月三一日までの事業年度(第三期)に八三四五万〇八四三円、平成四年四月一日から平成五年三月三一日までの事業年度(第四期)に六四六万七八九三円の税引前純利益を上げた。そして、キャンベルゴヒャクは、原告サンヨーオートに対する仕入手数料(原告サンヨーオートがキャンベルゴヒャクに卸す価格と仕入価格との差額である原告サンヨーオートの利益)として、右第一期から第四期に、順に、一二八〇万一五〇〇円、一億一四一九万五三一二円、九二八七万四三五一円、七三二八万四五〇七円を支払い、また、原告サンヨーオート及び原告中央自動車に対し、年間八七一二万円(月七二六万円)の本件不動産に対する地代・家賃を支払っていた。
(二) 取引の背景
キャンベルゴヒャクが営業を開始した後の平成三年一〇月、日本中央競馬会は、高松市において計画していた阪神競馬場高松場外勝馬投票券発売所「ウインズ高松」の建設について、農林水産大臣の許可を得、平成五年春のオープンを目指して、平成四年一月からウインズ高松の建設工事を開始したが、基礎工事が終わりかけた同年四月八日、地域住民五〇九人が、教育環境が破壊され、交通渋滞が生じるおそれがあると主張して、高松地方裁判所にウインズ高松の建設禁止を求める仮処分を申請した。
これに対処するため、日本中央競馬会は、ウインズ高松の建設を請け負わせていた阪急産業に対し、是非ともウインズ高松近辺に駐車場用地を確保するよう要請した。その阪急産業が駐車場用地の候補地の一つとしたのが、キャンベルゴヒャクの中古車展示場、すなわち本件各土地であった。
これらの事情は、高松市において、新聞報道されており、徳行も、阪急産業がウインズ高松の駐車場用地を確保するために本件各土地を強く必要としている事情を認識していた。
(三) 本件不動産及び本件株式の売買交渉
(1) 平成五年二月初めころ、アドックの当時の代表者徳善は、親会社から、阪急産業が、地域住民のウインズ高松の建設禁止を求める仮処分の裁判に対処するため駐車場建設用地を早急に必要としており、株式会社大丸ハウス(以下「大丸ハウス」という。)を仲介業者として、キャンベルゴヒャクの本件各土地に狙いをつけているので、キャンベルゴヒャク側の仲介業者をしてみてはどうかとの話があったため、同月六日、キャンベルゴヒャクに赴き、実質的な経営者である徳行に本件各土地を売却してくれるよう申し入れたところ、徳行は、キャンベルゴヒャク(キャンベル高松店)はグループ企業の中でも一番の収益店舗(ドル箱店)であるので難しいが、検討はする旨回答した。徳行は、徳善が示した三か所の代替地を見に行き、いずれも条件に適合しないとして拒否したが、徳善は本件各土地の売却を求め続けた。
(2) 徳善から報告を受けた阪急産業は、徳善に対し、日本中央競馬会と地域住民との間の仮処分裁判を少しでも有利に進めるため、駐車場用地の確保を進めている証拠として裁判所に提出できるように、原告サンヨーオート及び原告中央自動車から両社がアドックに本件各土地の譲渡に関して委任している旨の委任状をもらうよう指示した。
そこで、平成五年二月一四日、徳善は、大丸ハウスの代表取締役米岡稔とともに徳行を訪ね、アドックに対する委任状の作成を依願したところ、徳行は、これに応じ、「キャンベルゴヒャクと阪急産業との土地交渉に関して、キャンベルゴヒャクはアドックの徳善社長を代理人として交渉権を委任する」旨の原告サンヨーオート名義の委任状(甲八六)を作成し、徳善に交付した。この際、徳行は、徳善及び米岡に対し、本件各土地を売却するのであれば税金対策のためキャンベルゴヒャクの買収すなわち本件株式の譲渡も希望する旨を伝えた。同月一九日、徳善は、阪急産業の副社長赤松忠典(以下「赤松副社長」という。)に会い、徳行が本件株式の譲渡も希望している旨を伝え、キャンベル高松店はドル箱店であるので本件各土地の売買も世間並みの相場では徳行は応じないであろうと話した。
そして、平成五年二月二〇日、徳善は、本件不動産の売買価格を三五億円ないし四〇億円と考え、右米岡とともにキャンベルゴヒャクの事務所に徳行を訪ね、本件不動産の売却金額を打診したところ、徳行は、「株式会社を一括して六〇億円で売り渡す。明渡しは同年四月二〇日とする。ただし、今日中に回答が得られなければこの話は打切りにする。」という強硬な態度を示した。徳善から連絡を受けた阪急産業は、同日(平成五年二月二〇日)午前一一時ないし一二時ころ、赤松副社長が日本中央競馬会の担当理事に電話連絡をとった結果、同理事から右金額で買収するよう指示があり、売買契約書については、裁判所に提出するため同月二六日までに仮契約書を整えるよう指示を受け、徳善に伝えた。
徳善から右の回答を聞いた徳行は、国土利用計画法の規制をクリアーでき、税金が安くなることなどの理由から、徳善を通じて阪急産業に対し、本件不動産を一八億円、キャンベルゴヒャクの本件株式を四二億円として合計六〇億円ですべてを売却したい旨申し入れた。
阪急産業は、本件株式を買い取るのはやぶさかでないが、ウインズ高松の駐車場用地として取得した本件各土地を駐車場として日本中央競馬会に賃貸することになる関係上、六〇億円の内訳において少しでも本件不動産の価額が大きい方がよいと考えたものの、結局、ウインズ高松建設計画遂行に必要不可欠な本件各土地を取得するため、右申入れを受け入れることとした。
(この点に関し、被告らは、同月二〇日に、本件各土地について、原告サンヨーオート及び原告中央自動車を売主、阪急産業を買主とし、売買代金額を六〇億円とする売買予約が成立した後に、本件各土地を六〇億円で売買すれば国土利用計画法に抵触すること、売買の対象として本件株式を加えた方が税金が安くなることなどの理由から、原告サンヨーオート及び原告中央自動車は、本件各土地と本件株式を六〇億円で譲渡することとし、その割振りは本件各土地一八億円、本件株式四二億円とすることに変更するよう申し入れた旨主張するが、徳行は、同月一四日の段階で、徳善及び米岡に対し、本件各土地を売却するのであれば税金対策のためキャンベルゴヒャクの買収すなわち本件株式の譲渡も希望する旨を伝えており、同月二〇日に六〇億円を提示したのも「株式会社を一括して六〇億円で売り渡す」というものであって、右主張の本件各土地(のみ)の六〇億円での売買予約の成立並びに原告サンヨーオート及び原告中央自動車による変更申入れの事実を認めるに足りる証拠はない。)
(3) そこで、平成五年二月二二日、徳行の意向を受けた徳善は、阪急産業の担当取締役小川勝吉との間で、打合せを行った。この打合せの内容を記載した「キャンベル500売買の件」と題する打合せ記録(乙二八)には、「合意条件」として、次のように記載されている。
「1 総額 六〇億円
対象となるもの及び裏付資料
(1) キャンベル500(株)の株式及び資産(営業権を含む)
但し在庫商品(中古車)、動かせる備品等は除く。
「キャンベル500」という商標はサンヨーオートに帰す。
(2) (株)サンヨーオートがキャンベル500(株)に賃貸している土地、建物
(3) (株)サンヨーオートセンターが借地している借地権
(4) 両社が交わしている隣接している近隣との取り決め
(5) 代替地
(6) 移転費用
(7) 建物、広告塔は現状のまま」
(4) 平成五年二月二六日、阪急産業は、顧問弁護士において起案し、取締役会の了承も得た「商号、営業、不動産等譲渡契約書」を用意し、キャンベルゴヒャク(代表者妙子)、原告サンヨーオート(代表者徳行)、原告中央自動車(代表者徳行)及び徳行との間で、同契約書の表題に「予約」の二文字を挿入訂正の上、これに当事者が記名押印する形で、「商号、営業、不動産等譲渡予約契約書」二通を作成した。
その五条には、阪急産業は、徳行に対し、同年四月一四日、キャンベルゴヒャクの商号・営業・株式の譲渡代金、キャンベルゴヒャクの建物賃借権の譲渡代金、原告サンヨーオートの建物・土地の所有権・土地賃借権の譲渡代金及び原告中央自動車の土地の譲渡代金のほか、一切の費用として、六〇億円を土地建物の明渡しと同時にこれと引換えに支払うものとする旨記載されているところ、原告サンヨーオート及び原告中央自動車が保管していた方の予約契約書(甲四七)には、内訳を明確にしておきたいとする徳行の申入れにより、右原告らの顧問会計士である金井孝憲公認会計士が手書きでその末尾(当事者記名押印欄の後)に付記として「第五条の金額六十億円の内訳は、第一条の株式売却代金四十二億円と丙(原告サンヨーオート)の土地建物及び丁(原告中央自動車)の土地建物代金十八億円とする」と追加記載し、当事者五名が訂正印を押捺したが、阪急産業は六〇億円の内訳にさほど重きを置かなかったため、阪急産業が保管していたもう一通の予約契約書(乙二七)には、右付記は記載されなかった。
その後、阪急産業の内部決裁の関係で契約手続があまり進展しなかったので、徳行が徳善に催促していたところ、同年四月六日、前記当事者五名は、本件各土地の売買について国土利用計画法に基づく手続が済んでいないことから、「株式及び土地、建物等の売買予約書」(甲四八)に記名押印し、その手付金の約定に従い、阪急産業が徳行に対し、本件不動産及び本件株式の売買の手付金として九億円を支払った。右売買予約書では、売主は同月三〇日までに本件不動産を買主に引き渡すものとされ、その末尾の「本件の対象となる株式及び不動産等の表示」欄には、売買代金六〇億円の内訳として「株式売買 42億円 土地・建物 18億円」と記載されている。また、同月七日、原告サンヨーオートは、キャンベルゴヒャクの貸借対照表に基づき、同社の主たる資産及び負債を引き継ぎ、同社に対する未払金として六八五一万六〇六二円を計上した。
(5) ところが、その後、本件不動産を一八億円、本件株式を四二億円で売買することについて、いくつかの問題が指摘され、双方の顧問会計士の間で協議をすることになった。
平成五年四月一七日、原告サンヨーオート及び原告中央自動車の金井孝憲顧問公認会計士は、徳行と面談した結果、阪急産業の顧問会計士である矢野龍彦公認会計士に対し、「キャンベル社のM&Aの決済を4月30日迄にお願いしたい。」、M&A後の体制は「販売済車の所有権留保解除手続について協力関係を保持すること」「販売済車のクレーム処理は旧キャンベル社で対処すること」を確約するとした上、本件不動産の売買と本件株式の売買とが本来一体の取引であることを秘匿するため、「M&A契約とサンヨー社、中央社の土地売買契約の時点は従来より同時期とはしない旨意見を伝えてあるので誤解ないよう、再度御回答申します。」との文書(乙一七別添1)を送付した。
これに対し、同月二〇日、矢野公認会計士は、金井公認会計士に対し、「株式の側のリスクを極力減少させるために、土地については、国土法の上限金額いっぱいの金額配分を検討しております。時価を下廻る場合の低廉譲渡の問題も考えられるため、この点に関する情報の提示及び御検討をお願いしたいと考えます。」との文書(乙一七別添2)をファックスで送付した。
さらに、同月三〇日、金井公認会計士は、矢野公認会計士に対し、阪急産業の小川取締役から徳行に四月三〇日までに土地を明け渡すようにとの話があったようであるが、「土地を明け渡す前提で在庫移動等の為の仮用地が必要であり、その為にキャンベル社の株式の売却代金が手当出来なければ移動は出来ないこととなります。」、「国土関係のデータですが、開口部の広い部分が115万/坪、開口部6mの袋地の部分は45万/坪で申請とのことで、殆ど国土のMAX位置にあるものとのことです。土地代として約16〜16.5億程度になると思います。」、「小川氏の話では、値うちのない株の売買は速刻には応じられないとのことでしたが、本件の契約の当初より、株売却の先行を申し入れてあり、阪急社の事情もあるでしょうが、その点を踏えお願いする次第です。」との文書(乙一七別添3)を送付した。
(6) 原告サンヨーオート及び原告中央自動車と阪急産業は、平成五年五月七日、本件各土地のうち原告サンヨーオート所有分(別紙物件目録一1記載の土地)の売買予定対価の額を一三億三四五五万一五四一円、原告中央自動車所有分(別紙物件目録二1記載の土地)の売買予定対価の額を三億一五六三万六五四四円として、香川県知事に対し国土利用計画法上の届出を行い、同月三一日、同知事から不勧告通知(甲八一、八二)を受けた。右不勧告通知の原告サンヨーオート分(甲八一)には、「隣接地である田村町字中川原三六九番二、三六九番三、三六九番四、三六五番一、三六六番三、三七二番一との一体利用を前提とした限定価格である。」との付記、原告中央自動車分(甲八二)には、「隣接地である田村町字中川原三七〇番一外二四筆との一体利用を前提とした限定価格である。」との付記がなされている。
(7) 平成五年七月八日、日本長期信用銀行梅田支店において、徳行、妙子、金井公認会計士、阪急産業代表取締役眞鍋英壽、赤松副社長、矢野公認会計士、徳善等が集まり、原告サンヨーオート及び原告中央自動車と阪急産業との間で、本件不動産を合計一八億円(原告サンヨーオート所有の土地が一三億三四五五万一五四一円、建物が一億四三二五万七六九八円、原告中央自動車所有の土地が三億一五六三万六五四四円、建物が六五五万四二一七円)で売買する旨の平成五年七月八日付不動産売買契約書(甲五〇)が、阪急産業の起案した契約書に当事者が記名押印する形で作成され、また、徳行、妙子、原告まみえ、原告寿枝と阪急産業との間で、平成五年七月八日限り本件株式二〇株(徳行八株、妙子六株、原告まみえ三株、原告寿枝三株)を一株二億一〇〇〇万円、合計四二億円で譲渡する旨の平成五年四月六日付株式譲渡契約書(甲四九)が、同様に阪急産業の起案した契約書に当事者が記名押印する形で作成された。
右株式譲渡契約書は、日付を前記手付金支払いの日に遡らせたものであり、条項として、平成五年四月六日に株式譲受人から譲渡人に支払われた九億円を株式譲渡代金に充当すること、キャンベルゴヒャクの役員は本件株式譲渡の日に全員辞任すること、株式譲渡人は、本件株式譲渡の時点までに販売した車については、販売代金未済のものにつきキャンベルゴヒャクが所有権を留保しているものの所要の所有権留保解除手続を責任を持って完了するものとし、生じたクレームに関する一切の業務について完全に履行するものとし、購入者に対する未回収債権の回収について一切の責を負うものとすること、株式譲渡人は、香川県内において、自らキャンベルゴヒャクの業務と競合する業務を行わないものとすること、などが定められている。
(8) 同日(平成五年七月八日)、本件株式の譲渡契約に基づく代金が、徳行、妙子、原告まみえ及び原告寿枝の各個人名義の普通預金口座に入金され、徳行、妙子、原告まみえ及び原告寿枝は、阪急産業に対し、本件株式の株券、キャンベルゴヒャクの印章、通帳、株式譲渡承諾書、役員の辞任届等を引き渡した。また、同月一四日、本件不動産売買契約に基づく代金が原告サンヨーオート及び原告中央自動車の各普通預金口座に入金され、右各原告は、遅くとも同月一五日までに本件不動産の引渡し及び所有権移転登記手続を完了した。
本件株式の代金が入金された日本長期信用銀行の原告まみえ名義及び原告寿枝名義の各普通預金口座は平成五年七月八日に新規開設されたものであるが、右各口座に振り込まれた本件株式代金合計一二億六〇〇〇万円は、翌九日から一四日までの間に全額出金され、そのうち九億円は、いったん、なにわ銀行伊丹支店の原告まみえ名義及び原告寿枝名義の各普通預金口座を経由して、平成六年三月三一日までの間に、同支店の原告サンヨーオート名義の当座預金口座に振り替えられた。しかし、原告まみえは、自己がキャンベルゴヒャクの本件株式を保有していたことも、それが売却されたことも知らなかった。
(四) 本件不動産及び本件株式売却後の事情
(1) 徳行は、阪急産業の要請に従い、本件株式の譲渡に際しキャンベルゴヒャクの従業員を解雇し、その営業は阪急産業には引き継がれなかった。キャンベルゴヒャクは、現在まで休業状態であり、中古車販売に必要な古物商の許可も返上した。ただし、キャンベルゴヒャクは、資本金一〇〇万円を、平成八年三月六日四〇〇万円に、同月二三日一〇〇〇万円に増額しており、将来営業活動を行う予定はある。また、阪急産業は、本件不動産を一八億円で取得し、本件株式を四二億円で取得したものとして会計処理をしている。
一方、原告サンヨーオートは、平成五年四月から平成六年四月までの約一年間、本件各土地から南に約五〇〇メートルの場所において、「キャンベル」の名称の仮設店舗を設け、キャンベルゴヒャクから引き取った中古車販売の営業をし、株式譲渡契約書の条項に基づき、キャンベルゴヒャクが既に販売した中古車について所有権留保解除手続やクレームの処理に当たり、平成六年五月からは、フォルクスワーゲン及びアウディの日本正規代理店として平成四年に発足したファーレン事業部の事業の一環として、本件各土地から約四キロメートル離れた約一四〇〇坪の土地において、三号店「ファーレン高松」を開設し、フォルクスワーゲン及びアウディの新車約二〇台とその中古車、下取りの国産車約八〇台を展示して販売しており、解雇したキャンベルゴヒャクの従業員を再雇用した。原告サンヨーオートの従業員が広報の目的で作成していた同社の「経歴書」の原案には、「平成五年五月 サービス体制向上のため、『株式会社キャンベルゴヒャク』を吸収合併『株式会社サンヨーオートセンター高松支店』とする」と記載されている。前記のとおり株式譲渡契約書には競業避止義務を定めた条項があるが、阪急産業から原告らに対して何らの異議も唱えられていない。
(2) 平成五年一〇月一二日、大丸ハウスは、徳行、妙子及び本件訴訟における原告らを被告として、本件不動産の売買契約及びこれと一体をなす本件株式の売買契約に関する媒介委託契約に基づきアドックが有する一億八〇〇〇万円の報酬債権を同社から譲り受けたと主張して、一億八〇〇〇万円の連帯支払を求める訴え(乙一二)を高松地方裁判所に提起した(同裁判所平成五年(ワ)第四二〇号事件)。
右訴訟は、平成七年五月二四日、和解(甲八八)により終了したが、その和解の内容は、当事者は、原告サンヨーオート及び原告中央自動車が平成五年七月八日、本件不動産を阪急産業に合計一八億円で売り渡す契約、並びに徳行、妙子、原告まみえ及び原告寿枝が平成五年四月六日、本件株式を合計四二億円で売り渡す契約がそれぞれ有効に成立したことを確認し、同年六月二五日限り、原告サンヨーオート及び原告中央自動車は、大丸ハウスに対し、本件不動産売買契約の仲介手数料として、連帯して五四〇〇万円を支払い、徳行、妙子、原告まみえ及び原告寿枝は、大丸ハウスに対し、本件株式売買契約の仲介手数料として、連帯して三〇五〇万円を支払う、というものであった。
2 右1認定の事実によれば、平成五年七月八日、日本長期信用銀行梅田支店において、原告サンヨーオート及び原告中央自動車と阪急産業との間で、本件不動産を合計一八億円(原告サンヨーオート所有の土地が一三億三四五五万一五四一円、建物が一億四三二五万七六九八円、原告中央自動車所有の土地が三億一五六三万六五四四円、建物が六五五万四二一七円)で売買する旨の平成五年七月八日付不動産売買契約書(甲五〇)が作成され、また、徳行、妙子、原告まみえ、原告寿枝と阪急産業との間で、平成五年七月八日限り、本件株式二〇株(徳行八株、妙子六株、原告まみえ三株、原告寿枝三株)を一株二億一〇〇〇万円、合計四二億円で譲渡する旨の平成五年四月六日付株式譲渡契約書(甲四九)が作成された、というのである。したがって、格別の事由のない限り、右各契約書記載のとおりの合意が当事者間で成立したものと認めるべきところ、被告らは、本件不動産の売買契約及び本件株式の譲渡契約においては、本件不動産と本件株式を併せて譲渡することにより、本件各土地の譲渡価額の一部を本件株式の譲渡価額に「付け替えた」ものであり、本件株式の実質価額は八七七二万六四四〇円を限度とするものであったというべきである。すなわち、本件不動産の代金を一八億円、本件株式の代金を四二億円とするとの不動産売買契約書、株式譲渡契約書の記載は、単に税務対策上の便宜から記載されたものにすぎず、本件株式の相当評価額を株式の代金とし、六〇億円から右相当評価額を差し引いた金額を本件不動産の代金とするのが、当事者の真実の意思に合致する合意内容というべきであり、これを前提に阪急産業は右代金の合計額として六〇億円を支払ったものと解するのが合理的である、と主張するので、以下検討する。
(一) 前記1認定の事実によれば、(1)阪急産業が必要としていたのは、日本中央競馬会が地域住民から申し立てられたウインズ高松建設禁止仮処分の裁判に対処するために、駐車場として日本中央競馬会に賃貸するための本件各土地だけであり、キャンベルゴヒャクという会社ないし本件株式は別段必要としなかった、(2)当初の平成五年二月六日に、仲介業者アドックの当時の代表者徳善がキャンベルゴヒャクの実質的な経営者である徳行に申し入れたのも、本件各土地のみの売却であり、同月一四日に、前記仮処分の裁判を有利に進めるために証拠として裁判所に提出したいとの徳善の求めに応じて、徳行が原告サンヨーオート名義で作成して徳善に交付した委任状の内容は、「キャンベルゴヒャクと阪急産業との土地交渉に関して、キャンベルゴヒャクはアドックの徳善社長を代理人として交渉権を委任する」というものであった、(3)徳行が「株式会社を一括して六〇億円で売り渡す」との提示をした同月二〇日に、本件不動産を一八億円、キャンベルゴヒャクの本件株式を四二億円として合計六〇億円ですべてを売却したいと申し入れたのは、国土利用計画法の規制をクリアーでき、税金が安くなるという理由からである、(4)同月二二日、徳行の意向を受けた徳善と阪急産業の担当取締役小川との間で行った打合せの記録によれば、「合意条件」として、キャンベルゴヒャクの株式及び資産(営業権を含む)も売買対象に挙げられているが、在庫商品(中古車)、動かせる備品等は除外し、「キャンベル500」という商標は原告サンヨーオートに返すものと記載され、売買代金総額六〇億円の内訳は記載されていない、(5)同月二六日、阪急産業、キャンベルゴヒャク(代表者妙子)、原告サンヨーオート(代表者徳行)、原告中央自動車(代表者徳行)及び徳行の間で「商号、営業、不動産等譲渡予約契約書」二通を作成したが、その五条には、阪急産業は、徳行に対し、同年四月一四日、キャンベルゴヒャクの商号・営業・株式の譲渡代金、キャンベルゴヒャクの建物賃借権の譲渡代金、原告サンヨーオートの建物・土地の所有権・土地賃借権の譲渡代金及び原告中央自動車の土地の譲渡代金のほか、一切の費用として、六〇億円を土地建物の明渡しと同時にこれと引換えに支払うものとする旨記載されているところ、原告サンヨーオート及び原告中央自動車が保管していた方の予約契約書(甲四七)には、その末尾(当事者記名押印欄の後)に付記として「第五条の金額六十億円の内訳は、第一条の株式売却代金四十二億円と丙(原告サンヨーオート)の土地建物及び丁(原告中央自動車)の土地建物代金十八億円とする」と追加記載したが、阪急産業は六〇億円の内訳にさほど重きを置かなかったため、阪急産業が保管していたもう一通の予約契約書(乙二七)には、右付記は記載されなかった、(6)同年四月三〇日ころ、阪急産業の小川取締役から徳行に対し、「値打ちのない株(本件株式)の売買は速刻には応じられない」との話があった、(7)平成五年七月八日付不動産売買契約書と同年四月六日付株式譲渡契約書が作成された平成五年七月八日、本件株式の代金が徳行、妙子、原告まみえ及び原告寿枝の各個人名義の普通預金口座に入金されたが、原告まみえ名義及び原告寿枝名義の各普通預金口座に振り込まれた合計一二億六〇〇〇万円は、翌九日から一四日までの間に全額出金され、そのうち九億円は、平成六年三月三一日までの間に、原告サンヨーオート名義の当座預金口座に振り替えられたのに、原告まみえは、自己がキャンベルゴヒャクの本件株式を保有していたことも、それが売却されたことも知らなかった、(8)徳行は、阪急産業の要請に従い、本件株式の譲渡に際しキャンベルゴヒャクの従業員を解雇し、その営業は阪急産業には引き継がれず、キャンベルゴヒャクは休業状態であり、中古車販売に必要な古物商の許可も返上しており、一方、原告サンヨーオートは、平成六年五月から、本件各土地から約四キロメートル離れた約一四〇〇坪の土地において、「ファーレン高松」を開設し、中古車の販売を含む営業をしており、解雇したキャンベルゴヒャクの従業員を再雇用したが、株式譲渡契約書における競業避止義務を定めた条項にもかかわらず、阪急産業から原告らに対して何らの異議も唱えられていない、というのであり、これらの事実によれば、被告ら主張のように見る余地もないではない。
(二) しかしながら、阪急産業が必要としていたのは、本件各土地だけであり、キャンベルゴヒャクという会社ないし本件株式は別段必要とせず、当初の平成五年二月六日に徳善が徳行に申し入れたのも本件各土地のみの売却であるとしても、①徳行は、原告サンヨーオート名義の委任状を作成して徳善に交付した同月一四日の時点で既に、徳善及び阪急産業側の仲介業者大丸ハウスの米岡に対し、本件各土地を売却するのであれば税金対策のためキャンベルゴヒャクの買収すなわち本件株式の譲渡も希望する旨を伝え、徳善は、同月一九日、阪急産業の赤松副社長に対して、徳行が本件株式の譲渡も希望している旨を伝え、キャンベル高松店はドル箱店であるので本件各土地の売買も世間並みの相場では徳行は応じないであろうと話した、②同月二〇日、徳善が米岡とともに徳行を訪ねて本件不動産の売却金額を打診した際も、徳行は、「株式会社を一括して六〇億円で売り渡す」旨回答し、更に、本件不動産一八億円、キャンベルゴヒャクの本件株式四二億円との内訳にすることを申し入れ、これに対し、阪急産業も、取得した本件各土地を駐車場として日本中央競馬会に賃貸することになる関係上、六〇億円の内訳において少しでも本件不動産の価額が大きい方がよいと考えたものの、結局、ウインズ高松建設計画遂行に必要不可欠な本件各土地を取得するために、右申入れを受け入れることとした、③同月二六日に作成された「商号、営業、不動産等譲渡予約契約書」は、阪急産業の顧問弁護士において起案し、取締役会の了承も得たものであり、これに本件不動産、本件株式の譲渡代金のほか、一切の費用として六〇億円を支払うものとする旨記載されており、その原告サンヨーオート及び原告中央自動車が保管していた方の予約契約書の末尾の付記は、内訳を明確にしておきたいとする徳行の申入れにより、わざわざ金井顧問公認会計士が手書きで追加記載したものである、④同年四月六日作成の「株式及び土地、建物等の売買予約書」にも、右内訳が明記され、その手付金の約定に従い、同日、阪急産業が徳行に対し、本件不動産及び本件株式の売買の手付金として九億円を支払っており、その後、本件不動産を一八億円、本件株式を四二億円で売買することを前提にその問題点が双方の顧問公認会計士の間で協議された、というのであって、すなわち、徳行は、平成五年二月一四日という交渉の早い段階から、本件不動産を譲渡するのであれば税金対策のため本件株式の譲渡も希望することを伝え、同月二〇日に本件不動産及び本件株式の全体で六〇億円を提示した際に本件不動産一八億円、本件株式四二億円という内訳にすることを申し入れ、その後の交渉においても同年七月八日の不動産売買契約書及び株式譲渡契約書の作成に至るまで、一貫してその立場を維持しており、阪急産業においても、ウインズ高松のためにどうしても本件各土地が必要不可欠であるため、徳行の申入れに従い、本件不動産とともに本件株式も譲り受けること、対価は六〇億円とし、その内訳は本件不動産一八億円、本件株式四二億円とすることを受け入れた、ということができる(被告ら主張の、いったん本件各土地(のみ)について、原告サンヨーオート及び原告中央自動車を売主、阪急産業を買主とし、売買代金額を六〇億円とする売買予約が成立し、その後、原告サンヨーオート及び原告中央自動車が本件各土地と本件株式を六〇億円で譲渡することとし、その割振りは本件各土地一八億円、本件株式四二億円とすることに変更するよう申し入れたとの事実が認められないことは、前記1(三)(2)末尾説示のとおりである。)。
そして、そもそも、株式会社の株式を売買するにつきその価額をいくらにするかは、当事者間の交渉により自由に決めることができるのであって、仮にその決められた価額が客観的には不合理であるとしても、直ちに当事者の真実の意思でないと断定することはできない。のみならず、本件において、キャンベルゴヒャクは、徳行が代表取締役の原告サンヨーオート及び原告中央自動車とは一応別個の、徳行の妻妙子を代表取締役とする法人ではあるが、その実質的な経営者は徳行であり、本件株式の持株割合からしても徳行の個人会社といってよいところ、平成元年一二月一日の設立以来、第二期、第三期には各一億円前後の税引前純利益を上げるなど業績は好調であり、更に、原告サンヨーオートに毎事業年度一億円前後の仕入手数料を支払い、原告サンヨーオート及び原告中央自動車に毎事業年度合計八七一二万円の地代・家賃を支払っていることに照らせば、キャンベルゴヒャクは、開業以来、年間約一億円の経常利益を上げ、原告サンヨーオートらに対して仕入手数料や家賃・地代として年間約二億円の利益を与えてきたドル箱会社であったことから、徳行らは、本件株式についてキャンベルゴヒャクの当時の収益の一〇年分及び将来の収益力の増大可能性を考慮して譲渡価額四二億円を提示したとの原告らの主張、及びこれに沿う原告サンヨーオート代表者兼原告中央自動車代表者(徳行)の供述を排斥することはできず、本件株式の譲渡契約における四二億円という価額は、経済的合理性を欠如するとまでいうことはできない。
もっとも、譲渡の対象から在庫商品(中古車)、動かせる備品等は除外し、「キャンベル500」という商標は原告サンヨーオートに返すものとされ、平成五年四月三〇日ころ、阪急産業の小川取締役から徳行に対し、「値打ちのない株(本件株式)の売買は速刻には応じられない」との話があり、現に、徳行は、阪急産業の要請に従い、本件株式の譲渡に際しキャンベルゴヒャクの従業員を解雇し、その営業は阪急産業には引き継がれず、キャンベルゴヒャクは休業状態であり、中古車販売に必要な古物商の許可も返上した(ただし、資本金一〇〇万円を、平成八年三月六日四〇〇万円に、同月二三日一〇〇〇万円に増額しており、将来営業活動を行う予定はある。)、というように、阪急産業としては、キャンベルゴヒャクという会社ないし本件株式は本来必要としなかったものであり、その意味で、本件株式は阪急産業にとっては価値の乏しいものであったということができるが、原告ら側からみれば、本件不動産及び本件株式を阪急産業に譲渡することにより、常時五〇〇台の中古自動車を展示して販売するという営業形態(「中古車のデパート」)により前記のとおり原告サンヨーオート等、徳行の支配する企業グループに年間二億円以上の利益をもたらす会社を失うことになるから、その将来得られたはずの利益を失うことに対する代償を請求することに経済的合理性がないとまでいうことはできない。なお、原告サンヨーオートは、平成五年四月から平成六年四月までの約一年間、本件各土地から南に約五〇〇メートルの場所において、「キャンベル」の名称の仮設店舗を設け、中古車販売の営業をしたが、これは、キャンベルゴヒャクから引取った中古車を販売するものであり、前記のような常時五〇〇台の中古自動車を展示して販売するというキャンベルゴヒャクの営業形態とは異なるものであるだけでなく、株式譲渡契約書の条項に基づき、キャンベルゴヒャクが既に販売した中古車について所有権留保解除手続やクレームの処理に当たるためでもあり、また、原告サンヨーオートは、平成六年五月からは、本件各土地から約四キロメートル離れた約一四〇〇坪の土地において、「ファーレン高松」を開設し、中古車の販売を含む営業をしており、解雇したキャンベルゴヒャクの従業員を再雇用したが、右「ファーレン高松」は、フォルクスワーゲン及びアウディの日本正規代理店として平成四年に発足した原告サンヨーオートファーレン事業部の三号店であって、フォルクスワーゲン及びアウディの新車約二〇台とその中古車、下取りの国産車約八〇台を展示して販売するものであって、キャンベルゴヒャクの営業形態とは異なるものである。
一方、本件各土地は、原告サンヨーオート及び原告中央自動車が平成元年(一部は平成三年)に合計一三億一一〇二万四三〇五円で購入したものであり、本件不動産の売買代金額一八億円のうちの本件各土地分の合計一六億五〇一八万八〇八五円は、右購入価格の約1.26倍であること、甲第七九号証(不動産鑑定士作成の平成六年一二月七日付鑑定評価書)によれば、平成五年七月一四日時点における本件各土地(ただし、別紙物件目録一1末尾記載の高松市田村町字西内三〇二番四公衆用道路五一平方メートルを除く。)の更地としての価格は、合計一六億三七〇〇万円と評価されていること、原告サンヨーオート及び原告中央自動車と阪急産業が、売買予定対価の額を、不動産売買契約書記載の一三億三四五五万一五四一円、三億一五六三万六五四四円としてなした国土利用計画法上の届出に対する不勧告通知において、原告サンヨーオート分(甲八一)には、原告中央自動車所有の別紙物件目録二1記載の土地及び原告サンヨーオートが賃借していた隣接地三筆との一体利用を前提とした限定価格である旨の付記が、原告中央自動車分(甲八二)には、原告サンヨーオート所有の別紙物件目録一1記載の土地との一体利用を前提とした限定価格である旨の付記がなされており、右売買予定対価の額が本件各土地と隣接土地三筆の一体利用を前提として初めて不勧告通知をなしうる価格であって、いわば上限ぎりぎりの価格であるとする趣旨であることが窺われること、阪急産業においても、本件不動産を一八億円で取得し、本件株式を四二億円で取得したものとして会計処理をしていることに照らし、本件不動産の価格を一八億円とすることも、経済的合理性がないとはいえない。
また、平成五年七月八日付不動産売買契約書と同年四月六日付株式譲渡契約書が作成された平成五年七月八日、本件株式の代金が徳行、妙子、原告まみえ及び原告寿枝の各個人名義の普通預金口座に入金されたが、原告まみえ名義及び原告寿枝名義の各普通預金口座に振り込まれた合計一二億六〇〇〇万円は、翌九日から一四日までの間に全額出金され、そのうち九億円は、平成六年三月三一日までの間に、原告サンヨーオート名義の当座預金口座に振り替えられたのに、原告まみえは、自己がキャンベルゴヒャクの本件株式を保有していたことも、それが売却されたことも知らなかった、という点も、そもそも、キャンベルゴヒャクは、徳行の個人会社で、原告まみえ及び原告寿枝は名目上の株主にすぎなかったものと推認されるから、特段異とするに足りない。
以上によれば、不動産売買契約書及び株式譲渡契約書記載の本件不動産及び本件株式の譲渡価額は、国土利用計画法の規制をクリアーでき、税金が安くなることを考慮したものであることは明らかであるが、だからといって、前記(一)摘示のような事実をもってしては、未だ、被告ら主張のように、本件不動産の売買契約及び本件株式の譲渡契約においては、本件不動産と本件株式を併せて譲渡することにより、本件各土地の譲渡価額の一部を本件株式の譲渡価額に「付け替えた」ものであり、本件株式の実質価額は八七七二万六四四〇円を限度とするものであったとか、本件不動産の代金を一八億円、本件株式の代金を四二億円とするとの不動産売買契約書、株式譲渡契約書の記載は、単に税務対策上の便宜から記載されたものにすぎず、本件株式の相当評価額を株式の代金とし、六〇億円から右相当評価額を差し引いた金額を本件不動産の代金とするのが、当事者の真実の意思に合致する合意内容であると認めることはできず、他に右被告ら主張の事実を認めるに足りる証拠はない。
結局、本件不動産の売買契約、本件株式の譲渡契約における譲渡価額は、各契約書記載のとおり、一八億円、四二億円であったと認めるほかはない。
被告らは、仮に原告らと阪急産業の間で、本件不動産の代金を一八億円、本件株式の代金を四二億円として売買する一応の合意が外形上認められるとしても、その表示は、金額の点において当事者間の内心と異なるというべきであるから、虚偽表示(民法九四条一項)に該当して無効である、とも主張するが、右譲渡価額の合意が当事者の内心と異なるとの事実を認めるに足りる証拠はない。
3 以上のとおり、本件不動産の売買契約、本件株式の譲渡契約における譲渡価額は、一八億円、四二億円であったと認められるから、被告尼崎税務署長が原告サンヨーオート・原告中央自動車に対し、本件株式の真実の譲渡価額は八七七二万六四四〇円であり、本件不動産の真実の譲渡価額は六〇億円から八七七二万六四四〇円を差し引いた金額であったことを前提としてなした本件法人税更正処分一・二及びこれに伴う本件法人税加算税賦課決定処分一・二(請求の趣旨第一・第五項)、本件法人特別税更正処分一・二及びこれに伴う本件法人特別税加算税賦課決定処分一・二(請求の趣旨第二・第六項)は、違法というべきであり、取消しを免れない。
第四 結論
よって、原告らの請求のうち、本件法人税更正処分一・二及びこれに伴う本件法人税加算税賦課決定処分一・二(請求の趣旨第一・第五項)、本件法人特別税更正処分一・二及びこれに伴う本件法人特別税加算税賦課決定処分一・二(請求の趣旨第二・第六項)の取消しを求める原告サンヨーオート・原告中央自動車の請求は理由があるから認容し、本件納税告知処分一・二、本件不納付加算税賦課決定処分の取消しを求める原告サンヨーオート・原告中央自動車の請求にかかる訴え(請求の趣旨第三・第七項)及び本件所得税更正処分一・二、本件所得税過少申告加算税賦課決定処分一・二の取消しを求める原告まみえ・原告寿枝の請求(請求の趣旨第九・第一〇項)にかかる訴えを却下し、原告サンヨーオート及び原告中央自動車のその余の請求(被告国に対し不当利得の返還を求める請求の趣旨第四・第八項の請求)を棄却することとして、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官・水野武、裁判官・田口直樹、裁判官・武宮英子)
別紙物件目録<省略>
別表1〜8<省略>